2019/09/19

「アンカーの点検」と「特定土工点検」 現状と課題


一般社団法人アンカー健全度協会は、アンカーの点検の現状と特定土工点検が直面している問題点について94に国土交通省近畿地方整備局の会議室で、紹介する機会を頂きました。
株式会社シードコンサルタントは、一般社団法人アンカー健全度協会の関西支部の事務局として会議に出席しました。
切土斜面のアンカーが破断したため、斜面が移動した結果、路面が変状し、道路が長期間通行止めになった事例を紹介しました。また、アンカーの鋼線が錆びた多くの事例などを紹介し、アンカーの維持管理の必要性と特殊性についても説明しました。


 特定土工点検については、近接目視点検が必要なこと、これにより草刈りの費用が必要なことや、健全性の診断の評価の基準が具体的に決められていないため、評価する会社によって判定が異なること、詳細調査を行わずに措置の必要性を診断することなど、全国で会員が実施している業務で実際に遭遇している問題点について紹介しました。
 



 
切土法面には斜面の滑りを防止するため、多数のアンカーを打設している斜面があります。斜面内部の地下水がアンカー内に進入し、内部の鋼線が錆びている状況が点検時にしばしば確認されます。アンカーの錆に気が付かなかったため、地山のすべる力に対抗することが出来ず、アンカーが破断し、道路に落下する事例も発生しています。
 
アンカーは二重防食されているため、かつては永久構造物と考えられてきました。点検をしたところ、鋼材が錆びている事例が多数見つかったため、永久構造物ではないことが次第に明らかになってきています。
 
点検をしてきた結果、専門家が外見を見てもなかなか内部の錆に気が付かないことが多いことが分かり、キャップを外して調査をする必要性が明らかになってきました。アンカーについては、多くが地中に埋設されていること、鋼製のキャップで中の状況が外からでは確認できないことなどから、外見から判断する近接目視点検だけでは安全性の確保に問題があるようです。
 
一般社団法人アンカー健全度協会では、会員から全国の情報を集めているため、多くの事例から、アンカーの点検と特定土工点検について、会員各社に必要なアドバイスをしてくれます。
また、発注されるであろう業務を確かな技術と経験を基に実行できるよう、実際の現場において事前に訓練をし、経験を積む機会を提供してくれます。

公共施設の老朽化により維持管理の必要性がますます高まっています。身近な道路と斜面の構造物もしっかり点検して安全を確保する時代になってきました。
施設の維持管理には、その地域の過去の被災の状況や施設の経年劣化の状況を熟知しているとともに、実際に構造物の設計をその地域で長年やってきた人材がいる地方のコンサルタントの役割が、ますます高まっていると言えます。

般社団法人アンカー健全度協会では、会員から全国の情報を集めているため、多くの事例から、アンカーの点検と特定土工点検について、会員各社に適切なアドバイスをしてくれます。
株式会社シードコンサルタントは、地方の小さなコンサルタントではありますが、協会を通じて技術的な支援を受ける等、大手コンサルタントに引けを取らない技術を提供できるよう日々の業務に取り組んでいます。
 
原稿作成:計画設計部、編集:広報委員会

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