2021/06/03

写真を使ったコンサルタント業務(道路編)

 


 近年の画像解析技術には目を見張るものがあります。例えば、ドローンを使った測量においても画像解析が活躍しています。具体的には、2Dの写真を使って3Dの立体的な画像を作成することも可能となっています。
 今回の業務では、道路のひび割れを画像解析し、分析するということを行いました。
 今まで道路のひび割れ等は、目で見て個々人の感覚でひび割れ具合を調査していました。しかし、これでは調査する人の感覚によって個人差が生まれてしまい、一定の評価が難しいという問題がありました。ここで登場したのが、画像解析です。一定の条件を与えて解析することにより、定量的な判断が可能になる為、この方法を用いた分析を行いました。




 では、実際にどのようにして画像を取得するのかを解説します。
 道路の状況を計測する専用の車もあるのですが、コストが高く、簡単に導入することは困難です。そこで、市販されているものを組み合わせ、動画撮影を行い、そこから画像を取得する方法を行います。よくテレビなどで採用されているコンパクトで高画質なアクションカムを車の天井後方に固定し動画を撮影します。更に、予備のモバイルバッテリーを接続することで撮影時間を延長します。カメラは、スマホとWi-Fi接続を行うことで車内から制御することが出来ます。



 画像分析を行った結果が上記の写真となります。今回は分かりやすい写真をピックアップしました。ひび割れ部分が水色の線でなぞられていることが確認できます。今回の方法では、奥行き3m範囲の分析を行い、その中で全体の何割がひび割れているのかを判明させることで、路線の「ひび割れ率」を取得する事が出来ます。


実際の舗装はどのような速度で傷んでいくのか、それをグラフ化したものが上記の表となります。1日の車の走行台数によって痛み具合に差があるのは当然ですが、舗装してから1015年間はあまりひび割れが進行しないことを確認出来ます。しかし、それ以降は加速度的にひび割れ率が上昇します。




取得したひび割れ率と、先ほどのグラフを合わせることで、今後のひび割れ率の進行具合を求めることができます。上記の表は各路線の100m間隔のひび割れ率を一覧表にし、数値ごとに重要度を決定し着色したものです。赤枠は補修が必要な部分を示しています。このように、ひび割れ率の進行具合を推測し、将来の補修計画に活用します。

 「ひび割れ」の補修に限らず、私達が普段利用している道路、橋、トンネル等の社会インフラはメンテナンスの時代を迎えています。今後、コストパフォーマンスに優れた調査方法が求められる中で、今回の調査方法もその優れた方法の一つであると思います。これからの時代に即した、優れた調査方法を積極的に採用し活用して参ります。

【原稿作成:計画設計部 編集:広報委員会】



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