平成29年度大滝ダム堆砂測量業務において、紀の川ダム統合管理事務所協力のもと、測量の新技術に関する3つの実証実験を行いました。
本実証実験は、従来型の測量手法に代わる新技術について、その精度や問題点等の調査データを取得し、今後の新技術の活用を検討するための基礎資料の蓄積を目的としています。
【実証実験(1)】
深浅測量における従来の音響測深機(シングルビーム)と水深計測の三次元的な流向、流速が同時にわかる新技術「ADCP(M9)」についての実証実験を行いました。
検証結果を点検図及び5m毎の精度管理表にまとめ、今後の課題点等の整理を行い、本結果を踏まえた実証実験(3)の計画を立案しました。(写真:ADCP(M9)深浅測量作業状況)
【実証実験(2)】
急峻地形でのUAVレーザースキャナを活用した横断測量についての実証実験を行いました。
5m毎に従来方法による計測点とUAVによる計測点とを比較検証し、公共測量作業規程の較差制限を確認しました。
精度超過した点について検証を行った結果、従来の計測では人による変化点の取捨選択があるのに対し、UAVレーザースキャナの場合、ノイズ以外は変化点として採用するため、詳細なデータではUAVレーザースキャナの方が高精度であることがわかりました。
そのほか調整用基準点を大滝ダムの広範囲に設置し、UAV計測点と比較検証した結果、広範囲においても公共測量作業規程の較差制限に十分耐えうる精度であることが確認できました。(写真:UAVレーザースキャナ点群データ)
【実証実験(3)】
実証実験(1)の新技術を活用し、普段は見ることのない水面下の水の流れを可視化することで、堆砂のメカニズム解明におけるデータ活用の可能性を検討しました。
通常の河川では流れの外側で洗堀や床掘を起こしますが、今回実験を行ったエリアでは内側で床掘が確認できました。
新技術「ADCP(M9)」の流速や流量のデータを上層、中層、下層(下図参照)に分けて可視化することで、実験を行った上流支川からの合流の影響により、中層及び下層では左岸に水が当たり乱流が発生していることがわかりました。(上層は川の中心からやや右岸を流下)
今回の実証実験は、新技術「ADCP(M9)」単独でのデータ取得ですが、ナローマルチビーム等による水面下の経年変化データと本技術を組み合わせることで堆砂のメカニズム解明に繋がるものと考えられます。(写真:上/定期横断面図-下/流向流速ベクトル図)
また、技術進歩の目まぐるしい昨今、測量機械の性能や特性を十分理解し、機械から出力されるデータを我々人間がどのように利用するか、また、測量の精度をどのように確保し検証するのかといった内的・外的要因を総合的に判断できる技術者の必要性を再認識することができました。
※本実証実験の詳細について、ご興味のある方はコメント、又は当社地理情報部(0742-36-7011)までお問合せください。
【原稿作成:地理情報部、編集:広報委員会】
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